ロシアによるウクライナ侵攻を断固非難し、即時の停戦と平和的手段による解決を求める声明


2月24日に開始されたロシアのプーチン政権によるウクライナへの軍事侵攻は、ウクライナの人々に多大な被害をもたらしている。この間、日本を含め世界各地の歴史学関係の学会・機関・有志が、国連憲章に明らかに違反するロシアの武力行使を非難し、即時停戦とロシア軍のウクライナからの撤退を要求している。日本における歴史学の学会連合である日本歴史学協会も、ロシアによるウクライナ侵攻を断固として非難し、即時停戦とロシア軍のウクライナからの無条件かつ全面的な撤退を要求するとともに、困難な状況下にあるウクライナの人々、及びロシアを含む、戦争に反対する全世界の人々との連帯を、ここに表明する。

戦争と核兵器がもたらす惨禍を経験してきた日本の歴史研究者として、わたしたちはプーチン政権が核兵器使用の可能性に言及し、世界を威嚇していることを、看過できない。また、ロシア軍による軍事行動によって、ウクライナの歴史文化遺産、歴史研究・教育施設、図書館・文書館が破壊され、貴重な史資料が消失しつつあることにも、強い怒りを覚える。さらに、戦争遂行を正当化するために、あるいは民族主義的憎悪を煽るために、「歴史」や「記憶」、「民族」をめぐる恣意的な言説が用いられ、歴史が悪用されていることも許し得ない。

戦争は、それに直面したあらゆる人々に犠牲を強い、とりわけ女性、子ども、高齢者、障がい者などの生存を極度に脅かすものであり、断じて認められるものではない。わたしたちは改めて国際紛争を武力によって解決することを禁じた国連憲章と、戦争放棄を定めた日本国憲法とを想起し、軍事侵攻の即時停止とロシア軍のウクライナからの無条件かつ全面的な撤退を求めるとともに、関係諸国に今回の危機を対話と交渉を通じて平和的に解決することを訴える。


2022年3月17日


日本歴史学協会