大阪人権博物館・大阪国際平和センターの機能維持および
「近現代史の教育のための施設」構想に対する要望書
2012年7月21日
大阪府知事 松井一郎殿
大阪市長 橋下 徹殿
日本歴史学協会 会長 高埜利彦
同 文化財保護特別委員会 委員長 石山久男
日本歴史学協会は、全国の歴史学関連学会と歴史研究者を会員として1950(昭和25)年に発足して以来、日本学術会議と一体となって我が国における歴史学発展に関わるさまざまな問題に取り組んでまいりました。
さて、このたび大阪では、大阪人権博物館(リバティおおさか)の廃止を検討する方針が示され、また、大阪国際平和センター(ピースおおさか)が進めているリニューアルについても見直しが検討されていると聞き及んでいます。また、大阪府市統合本部会議において、あらたに「近現代史の教育のための施設」を構想していることも報道などにより広く知られています。
大阪は、先史時代から人々が生活し、世界でも有数の経済都市・国際都市として歴史的展開をみせ、大阪固有の歴史をもっています。政治・経済・文化の拠点として発展した一方で、差別・人権問題などに関わるさまざまな出来事もありました。現在運営されている上記2施設は、こうした大阪の歩んできた歴史を踏まえて設置されたものであり、設立の趣意書・理念には、人々の人権を守り、また、世界平和に貢献することが謳われ、現在の展示や活動もそれに基づいて行われています。人権と平和をテーマに掲げた上記2施設は、日本においても特有な性格を持った極めて貴重な施設として高い評価を受けるものであり、日本のみならず、世界からも注視されています。
現在の大阪は、こうした歴史の上に立ち、アジア経済の拠点的な機能を果たす国際都市として機能し、多様な人々が生活・交流するなかで発展を続けていますが、このことは、同時に、世界の人々も大阪の行政の動向に注目していることを意味しています。
以上を踏まえ、現在、大阪府および大阪市が進めている上記2施設の見直しや新たな「近現代史の教育のための施設」構想について、以下の点を十分に配慮し、検討することを強く要望いたします。
記