日本歴史学協会ハラスメント防止ガイドライン

2023年7月22日制定

1.目的

日本歴史学協会(以下、「本協会」)は、歴史学関係学会ハラスメント防止宣言にのっとり、パワー・ハラスメント、アカデミック・ハラスメント、セクシュアル・ハラスメント、レイシャル・ハラスメントなどのハラスメントを防止することで、本協会に関わる学会および個人とこれに関係する人々の尊厳と人権を守り、各自が快適で安心できる学会活動および研究・教育環境を実現・維持することをめざし、このガイドラインを制定します。

2.基本方針

本協会は、日本の歴史学の向上発展をめざし、「歴史学に関する研究者および学会・研究機関相互の連絡をはかり、歴史学会の重要事項を審議してその実現に努め」ることを目的として結成された組織です。この目的に反する、会員などの自由で快適で安心できる学会活動および研究・教育活動を脅かすあらゆる人権侵害や種々のハラスメントを防止すること、およびそれらが生じている可能性があると判断される場合に、しかるべき対応策を講じることに努めます。

3.適用範囲

本ガイドラインは、原則として本協会に属する学会の会員同士もしくは会員とこれに関わる人々との間で生じた、学会活動に関わるあらゆる行為について適用されます。
 本協会に加盟する学会などの総会、研究大会および例会、種々の委員・役員会活動や講演会・シンポジウムなどの活動、ならびに理事会や事務局などにおける活動、学会誌などの編集・出版活動、事務局への問い合わせや諸手続きの遂行に関わる活動、学会ウェブサイトやメーリングリスト利用上の行為、事務局職員(非常勤職員やアルバイト職員も含む、以下同様)の職務上の活動など、いずれの活動にも適用されます。また、インターネットなどにおける差別・ハラスメントによって、被害者の自由な意見表明や研究活動・組織運営活動を委縮させ、学会活動の健全な発展を阻害する場合も対象となり得ます。

4.ハラスメントとみなされる行為

基本的には、意図の有無にかかわらず、正当な理由なく相手に身体的または精神的苦痛を与え、尊厳を侵害するすべての行為が、本ガイドラインにもとづくハラスメントとしてみなされます。
 たとえば、相手に対して性、社会的身分、人種、民族、国籍、宗教、信条、年齢、学歴・職歴、身体的特徴、障がいの有無、あるいは既婚・未婚ないし結婚形態などの事項に関わる言動により不快感や不利益を与えること、研究方法や発表スタイル、さらには研究分野などを執拗に問題にすること、ある場合にはこれらを性差や学歴、さらには先天的能力などに関連付けたりすること、立場上の優越的な地位や権限、または人間関係などの優位性を利用して行うことなどが挙げられます。
これらは、対面で行われたものだけでなく、電子メールやソーシャル・ネットワーク・サービス(SNS)、電話、手紙などにおける言動も対象となります。
 学会活動中に知り得た個人情報や噂の流布などの、被害を受ける相手に対し直接なされたものではない行為もハラスメントに含まれます。これは、以上のような行為を主体的に行った場合だけでなく、加害者の指示にしたがい加担した場合も対象に含まれます。また、意図的に行った場合ではなく、意図せずにまたは悪意なく行った行為や善意や好意をもとに行った行為が結果的に相手を傷つけた場合も対象となる場合があります。
 なお、問題とされた行為がハラスメントにあたるかどうかの判断をする際には、受け手がどのように感じた、感じているかが重要です。ただし、それのみを判断材料とするわけではありません。

5.防止および対応策

別に定める日本歴史学協会ハラスメント防止委員会により、防止のための啓発活動や事態の把握のための相談活動などを行います。また、発生したと判断されるハラスメントの調査やハラスメントへの対処、ハラスメントを受けた人のその後の学会内での活動・学会業務や研究活動を安全に保つための対応策を講じます。